ユニバーサルデザイン

ユニバーサルデザインって何?

ユニバーサルとは英語で「普遍的な、すべての人々の、全世界の」という意味です。ですから、「すべての人のための普通のデザイン」ということです。ハンディキャップや年齢・国籍・性別・学力など色んな違いを超えて、すべての人が暮らしやすいように、街づくりやものづくり、環境づくりなどを行っていこうとする考え方です。

この考え方は、アメリカの建築家であり工業デザイナーであった故ロン・メイス氏によって提唱されました。彼は自らの車椅子利用者という立場から、バリアフリーデザインという概念が障害者以外にはメリットがなく、価格も高い上に美しいデザインが少ないと感じました。それを変えていくために、「すべての人のためのデザイン」という方向で考えていくことを提案し、ユニバーサルデザインと名付けたのです。

バリアフリーとユニバーサルデザインの違いは?

「バリア」とは英語で「障壁」という意味です。バリアフリーとは、もともとあった障壁を取り除くことを意味します。

例えば、歩道と車道の段差、歩道の進行方向に対して横方向の傾斜をなくして車椅子の人が利用できるようにしたり、駅や家にスロープ、エレベーター、リフトを取りつけることで、これまで上がれなかった上階に上がることができるようにすることです。

このようにバリアフリーは、障害をなくすのではなく軽減したり、補助装置によって何とか使用可能にしようとする考え方です。ですから、『バリアフリーは障害者差別を温存・助長する』との指摘もあります。バリアフリーの考え方も、今ある状況を大きく変えることができない場合には必要な方法です。

しかし、これは後付けの方法ですからはじめにバリアが存在します。それを普通では使用できない障害者、高齢者などのために改善する方法がバリアフリーといえると思います。それに対しユニバーサルデザインは、最初からバリアが取り除かれていることを目指しています。

つまり最初からあらゆる人が使えるようにデザインしておくというところが、バリアフリーとは大きく異なります。

ユニバーサルデザインの考え方は?

この項は国立特殊教育総合研究所HPより

ユニバーサル・デザイン

製品や環境は、可能な限り最大限、改造や特別な設計を必要とすることなく、全ての人々にとって使いやすく設計する。

筆者らはユニバーサル・デザインの原則を、環境や製品、コミュニケーションを含めて幅広く規定し、デザインの指針としてこれを確立し効果あるものとするために力を合わせて努力した。製品をデザインする者たちと環境デザインを研究する者たちからなる筆者らの作業部会は、現存するデザインを評価したり、デザインする過程において指針としたり、デザイナーと利用者の両者に、より利用しやすい製品や環境の特色を気付かせたりするときに利用するための7つのユニバーサル・デザインの原則を規定した。

ユニバーサルデザインの7つの原則

原則1:公平な利用

どのようなグループに属する利用者にとっても有益であり、購入可能であるようにデザインする。
例)自動ドア・低床バス・コードレス掃除機

原則2:利用における柔軟性

幅広い人たちの好みや能力に有効であるようデザインする。
例)エスカレーター・エレベーター・左右どちらの手でも使えるはさみ

原則3:単純で直感的な利用

理解が容易であり、利用者の経験や、知識、言語力、集中の程度などに依存しないようデザインする。
例)押しボタン式スイッチ・シャンプーとリンスを区別するためのボトルの凹凸

原則4:わかりやすい情報

周囲の状況あるいは利用者の感覚能力に関係なく利用者に必要な情報が効果的に伝わるようデザインする。
例)電車の液晶パネル・ピクトグラム(絵文字)を用いた表示

原則5:間違いに対する寛大さ

危険な状態や予期あるいは意図しない操作による不都合な結果は、最小限におさえるようデザインする。
例)プラットホームの二重扉・扉を開けると停止する電子レンジ

原則6:身体的負担は少なく

能率的で快適であり、そして疲れないようにデザインする。
例)ICカードを利用した電車の改札・レバーハンドル式のドアノブ

原則7:接近や利用に際する大きさと広さ

利用者の体の大きさや、姿勢、移動能力にかかわらず、近寄ったり、手が届いたり、手作業したりすることが
出来る適切な大きさと広さを提供する。
例)誰でもトイレ・料金投入口の大きな自動販売機・ボタンの大きなリモコン

ユニバーサルデザインの原則は、決して良い設計をするためのあらゆる基準から構成されているわけではなく、一般に使いやすい設計の基準から構成されているにすぎない、ということを確認しておく必要がある。確かに、形の美しさや、費用、安全性、性別、文化的なふさわしさなど他の要素も重要であり、デザインの際これらの問題も十分考慮すべきである。