高気密と換気の関係

高気密=息苦しいは誤解

『高断熱は分かるのだけれども、高気密は息が詰まる感じがしてイヤだから中気密(どの程度を中気密と言うのか分かりませんが)位の方が良いのでは?』とおっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。

でもそうでしょうか?

中気密の家なら機械で強制的に換気などしなくても、自然に換気が出来ているように思われているのですが、自然換気の量は外部の風速(内外の気圧の差)、内外の温度差、室内上下の温度差によって大幅に変動します。
例えば木枯らしの吹く時に暖かい部屋の空気はドンドン排気されてしまい隙間風スースーの寒い家になってしまいます。(これは高断熱高気密住宅の当初の目的である省エネからは外れてしまいます。)ところが風が無く雨が降っている日とか、用心のために窓を締め切っている時などには換気量が不足し、イヤな臭いがこもるジメジメ、ムレムレの家になる恐れが十分にあります。
一方、高気密の家では工事途中で徹底的に隙間を塞いでしまいます。弊社施工の現場では、気密測定の結果相当隙間面積(C値)は、0.6cm²/m²〜1.5cm²/m²程度です。つまり隙間を合計すると気密性能がよい家ではほぼハガキくらいの大きさになります。
この事だけを聞くと本当に息が詰まりそうな感じがして当然だと思います。高断熱を推進する工務店はこの数字ばかり強調しますし。中気密派?は高気密だけを問題として取り上げているので、ここから高気密の誤解が始まったのではないかと思います。

隙間風と換気は違う

『実際には気密工事の後に給気口を開ける工事があります。』
こう書くと、せっかく気密しているのにわざわざ後から給気口を開けるなんて、一体何のための高気密なのか?と思われるかもしれませんが、高気密は隙間風を無くすために行うのです。高気密住宅では隙間風は徹底的に排除しますが、換気のためには最適の給気口を開けます。

ここがポイントになるのですが、
隙間風と換気をごちゃまぜにしてはいけません。

生活していると発生する人間が吐きだす炭酸ガス、たばこや体臭などの臭気、調理の臭い、煙、浴室の湿気などを排出するために換気が必要となってきます。しかし省エネの観点からはなるべく少ない換気量の方がエネルギーのロスが少なくてすみます。ですから換気量は健康的で快適に生活出来、なお且つエネルギーのロスが最小になるように、ベストなバランスで計画的になされなければなりません。
《一般的な住宅の換気量は室内の炭酸ガス濃度が1000ppmを超えない程度を確保します。そのための換気量は一人あたり25m³/h〜30m³/hで計画します。》
ですから換気には常に、風速、温度差等に影響されずに、最適量を換気する性能が求められます。
それに対して、隙間風はいつ入ってくるのか分からない。どれだけ入ってくるのか分からない。分からない事だらけです。これでは安定した確実な換気にはなりません。
又、出入り口を明確にする事も大切です。計画換気では空気の出入り口を給気口、排気口に限定していますので、出入りする空気が直接構造体に触れる事はまずありません。一方、隙間風はどこから入ってくるのか分かりません。ですから、例えば梅雨時分の湿気をたっぷり含んだ隙間風が土台、柱、梁等の構造体に直接触れて侵入すれば建物が腐敗する原因にもなりかねません。このように隙間風と換気には決定的な違いがあります。

隙間風が少ない最適換気の家

もう1点大事なのは空気の質です。換気(排気)するにつれて自然に室内に入ってくる外部の新鮮空気は直接人間まで届けなければなりません。熱のロスを少なくする熱交換換気システムでは、給気がダクトや熱交換器等を通過する間に雑菌などに汚染されてしまう可能性もあります。全熱交換換気では臭いや湿気も交換してしまいます。ですから、排気した分が自然に給気される換気の方法(第3種換気)が最も良いと思います。

高気密の家ではベストバランスの換気をするために、先ずキッチリと気密して隙間風をできるだけ無くします。そして次に隙間ではない、換気のための給気口を最適な位置に開けます。一般的な住宅では50cm²の吸気口を9ヵ所程度開けます。
元からある隙間と合わせば500cm²以上(10cm*50cm以上)になります。

このように高気密住宅でも最終的には大きな穴が開いていることになります。ですから換気扇が停止してしまうと窒息してしまうとか、息苦しい感じがするなどと言うのは全くの誤解でしかないと思うのですがいかがでしょうか。

高気密の家では隙間風は徹底的に排除しますが、換気のために最適の位置に最適の大きさの穴を開けます。
ですから、高気密の家と言うよりも『隙間風が少ない最適換気の家』と言う方がわかりやすいかもしれませんネ。