木の路

豊かな森が
『きれいな空気』と
『おいしい水』を生み
私たちの命の源となります

そして
健幸な住まいも
健幸な森から運ばれてきます

《 自分の家の木がどうやって作られるのか知りたい 》

  施主さんと一緒に土佐の高知まで見に行きました。

 ここは高知県の領北地方、四国の真ん中、早明浦ダム辺りにあります。
 木はこの上流の愛媛県との県境にある寒風山山麓から伐りだされます。
 ここまで登ってくると、辺り一面の森林に入ると身も心もリフレッシュ
 出来るのが分かります。
 ここは間伐現場です。中央に明るく見える所に残されたのが良材で
 70〜80年まで育てられます。
 倒す方向を決めて、チェーンソーで受け口と追い口を刻みます。
 *伐採の場面写真は高知ではありません。
 追い口にクサビを打込み木を倒します。ですが今回は…。
 奥の木がなかなか倒れないので、手前の木を奥の木にもたれかけさせ
 2本同時に倒していました。
 伐採された木は葉枯らし乾燥され、300%程もある含水率を100%程度
 まで落とします。
 ありがとう。チャンと使わせてもらうからネ。
 ヨキとスチールのチェーンソー
 索道のウィンチ
 ウィンチから何本ものワイヤーを繰出して集材します。

 高知県の索道技術は大変優れていて、100〜200m間隔で2本の親綱を
 張り、向こう側の峰までの50haもの現場をひとつの索道でカバーして
 しまいます。

 こんなワイヤーをどうやって張るのでしょうか?

 実は最初はラジコン飛行機を飛ばして細いヒモを張り、太いワイヤーを
 引張っていくのだそうです。

 集材中
 写真の真ん中の集材基地まで運びだします。
 そこにはバックホーが待ち構えていて次々と枝打ちし、定尺に切断して
 いきます。
 バックホーの腕の先の機械がハーベスタで、1200万円以上する高価な
 機械です。これ一台で枝打ち、定尺切断、運搬等を行えます。
 その早さにはビックリ。
 ストックしておき、トラックで市場まで運搬します。
 市場では樹種、寸法別に整理しセリ市を待ちます。
 手前は桧、奥は杉
 中央は杉の丸太で、80年生程度です。
 レイホク木材市場の日本で唯一の原木グレーディングマシンです。
 体積・質量と打音測定から含水率と強度を測定し、ナンバリングされ
 グレードごとに選別します。
 グレード分けされた杉材。
 まず、皮を剥きます。
 乾燥時に材木が縮んだり反ったりするので、仕上の削り代を見込んで
 発注サイズより15mm程度大きく製材します。
 これを蒸気式乾燥機で7〜10日程度乾燥し、含水率を25%程度まで
 下げます。
 ところが
 杉には白線帯という赤身と白太の間により一層白い部分が有ります。
 ここには弁が有り、伐採された瞬間に自分の命を守ろうと内部の水分を
 放出しないように閉じてしまいます。
 ですから、杉の場合は辺材は乾燥しやすいのですが、内部で均一に
 乾燥させることが大変困難になり、様々な工夫がされています。
 弁の拡大
 乾燥機から出てきました。
 木材の寸法変化から言えば含水率は低い方が良いのですが、
 乾燥しすぎると今度は粘りが無くなり、衝撃を受けると一気に
 曲げ破壊されてしまいます。

 『オーッ!! これがウチの材料か。真っ黒やのォ』
 やはり、人工乾燥ですから枯れた色になります。

 施主様と私たち大工は、材木がどこでどうやって造られるのか非常に
 興味がありますので、大抵の所へは訪問します。
 今は亡き高知の森昭木材の社長(写真右の人)は大喜びであらゆる所へ
 案内してくれました。話を聞いていると、
 『そら〜、根性入れて造っとうき、山の方もどんな人の家になるんか
 知りたいきねぇ。』
 あっそうか!! ここで開眼。

 《 生産者も消費者もお互いに顔が見える関係 》

 コレです。
 この関係を築ければ皆安心して仕事が出来ます。仕事を任せられます。

 最後にモルダー(4面カンナ)で製材し直します。

 明石海峡大橋を通って納品されます。

節がたくさんある木を使う事は、家族だけではなく森林を守る事なのです。

Think Global Act Locality です。